石の2 佐賀インターナショナル・バルーン・フェスタ

バルーン1 テレビ「Youは何しに日本へ」で、佐賀バルーンフェスタに参加する
外国チームに密着取材していたのを見て、とても懐かしかった。
ぼくら夫婦が、佐賀インターナショナル・バルーン・フェスタを初めて
見に行ったのは20年近く前、福岡時代のことである。
佐賀平野は、九州でも有数の米作地帯であり、水田が広がっている。
そこで、稲刈り後の秋、10月下旬から11月初旬にかけて、一週間に
渡って行われる。嘉瀬川河川敷が主会場である。

1989年には「熱気球世界選手権」も開催されており、毎年世界中から
100機以上参加、観客数も100万人以上、日本最大、アジアでも最大
規模のバルーンフェスタなのである。期間中は、すぐ近くを通るJRに
臨時駅「バルーンさが駅」というのが出現し、特急まで停車してくれる。
河川敷には、数百軒のテントの飲食店や物販店が並び、大テントでは、
イベントやコンサートも行われる。ぼくらが行った時は、清水アキラが
物まねショーをやっていた。

バルーンを上げるにはパイロットの他に、それを助けるチームが必要で、
パイロットが乗るゴンドラだけでもトラックで運ばなければならないし、
バルーン2 バルーンの中に熱した空気を送り込むバーナーだけでも重量がある。
フェスタは競技会なので、チームの連携プレーが大切になる。
競技では、どこから飛び立ってもいいが、地上の複数の地点に十字の
標的があり、そこに自分達のネームの入った砂袋をいかに最も近くに
投げ落とすかというのを競う。ただ、バルーンには方向舵も何もなく、ただ
浮かんでいて、空気をバーナーで暖めて上下出来るだけなので、どこら
辺の高さに行けば、風の向きが東西南北のどこに向かっているかを慎重
に見極めて、その風を捕えて標的に近づくのである。

主会場の河川敷には、多くの標的が設けられており、そこに近づくバルーン
を見るために、土手にはびっしりと観客がいて、時折、ほんの数メートルまで
バルーンが近づくこともあり、大興奮だった。ただ、風を見誤って、あちこちの
田んぼに不時着するバルーンも多い。でも、それが田んぼの刈った後なので、
大丈夫だし、近隣の農家もそれを許しているのである。時にはそれが縁で
交流が生まれたりするという。

あのバルーンに乗って風に運ばれたら、どんな気分になるんだろうと想像を
バルーン3 巡らすが、なにしろ風に乗っているので、風の音は全く聞こえないという。
そして、フェスタは競技会なので、観客の試乗会はない。あくまでレース
なのだ。それにしても、青空に何十ものバルーンが浮かぶ風景は実に
圧巻だ。こんなに美しい風景は滅多にないと思う。さらに、大会ごとに、
趣向を凝らしたバルーンが続々と出現する。動物をかたどったものや、
食べ物をかたどったものなど、ほとんど笑いを誘っているのも多い。
また、企業のPRを担って参加する日本チームも多い。なにしろ、お金の
かかることである。スポンサーがいなければ成り立たない競技である。
そういう意味では、優雅な趣味である。まあ、スポーツ大会のほとんどは、
お金を出すスポンサーがいるゆえに成り立っているのである。
ぼくらは福岡時代に、3回行ったが、夢のような風景だった。
(2017年6月)

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