石の2 福岡ならば屋台である


「福岡に行くんですけど、どこがいいでしょう?」
屋台105 と仙台の人に時々、聞かれることがある。
「福岡ならば、夜の屋台たいね」とぼくは答える。
屋台の数、日本一。百数十店が中心街に出現する。
天神や、中洲の那珂川沿い、そして長浜。

屋台というと東京では、ラーメンとおでんのみで、
都会の隅か、郊外の駅で、サラリーマンを相手に
細々とやっている、うら寂しい稼業という印象だが、
福岡ではどっこい、食文化の花形である。

なんといっても、メニューが豊富である。
ラーメンとおでんはもちろん(ラーメンはとんこつ)
餃子が有名な店もあれば、焼き鳥、あるいは天ぷらが
有名な店もあるし、中華風、洋風、カクテル屋台もある。
刺し身などは衛生法で禁じられているが、火を入れれば
OKなので、各屋台、常にボーボーと火を炊き、
焼き物、炒め物を、注文に応じて何でも調理する。
それらの材料は、客の目の前の冷蔵ショーケースに、
寿司屋のカウンターのように、ずらり並んでいる。
さあ、いらっしゃい。

屋台というのは、午後5時半くらいから、どこからともなく
ぞくぞくと現れて道端に開店するのだが、客層は広く、
仕事帰りのサラリーマンはもちろん、若い女性連れも多く、
観光客もテレビの影響で、どれどれとやってくる。
福岡202 福岡は緯度のせいで、日暮れが東京より1時間は遅い。
夏ならば、椅子やテーブルがどんどん道にせり出してゆく。
もう、ほとんどアジアである。

実際、福岡は距離的にもアジアに近い。
街の案内には、英語と共に、中国語やハングルも多く、
韓国の釜山とは、高速艇が日に何度も行き来していて、
夏休みには、韓国の大学生が九州一周の貧乏旅行に来る。
だもんで、福岡の街作り志向は、他の都市とは違う。
アジアの拠点都市になろう、である。

福岡に行ったら、ぜひ、福岡ドームのある「百地浜」にも
行って欲しい。できれば、ドームに隣接する高層ホテル
「シーホーク」に泊って欲しい。目の前が博多湾だ。
そして、「元寇」の時には、ここから見える水平線に
フビライハンの、モンゴル軍の軍船がびっしり並び
一斉に攻めて来たのである。つまり、朝青龍みたいなのが
大集団で攻めてきたのである。いやあ、たいへんだった。

その風景、博多湾の真ん中に「能古島」がある。
井上陽水が「能古島の想い出」という曲で歌った、
市民の憩いの島である。フェリーで行く。

高倉健 福岡は芸能人、ミュージシャンの出身地としては大変、
にぎやかである。タモリ、武田鉄也、陽水はもちろん、
森口博子、富田靖子、田中麗奈、黒木瞳、酒井法子、
チューリップ、チャゲ&飛鳥、長渕剛、甲斐よしひろ、
浜崎あゆみ、椎名林檎、氷川きよし、高橋真梨子、
陣内孝則、チェッカーズ、松田聖子に郷ひろみ。
きりがないが、みなさん、元々は九州弁をしゃべって
いた人々である。
そして、とんこつラーメンを食べて育ったのである。
県民性でいうと、オレはこうだ!、の国である。
そして、何より、祭り好きである。
山笠や、どんたくを紹介するまでもなく、
屋台文化自体が、ほとんど祭りである。
日本で一番元気な地方都市である。


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