2の石 北海道、アズ・ナンバー・ワン


福岡で山菜採りのメインというと、ツワブキだった。
つわぶき  フキの種類である。葉っぱが濃い緑で、黄色い花を
 つける。
 それが、こちらの山里ではとんと見かけない。
 と思っていたら、野草園で偶然、再会した。
  えらいボロボロで、黄色の斑点が入っている。
 説明では、「海辺の植物」だという。うーむ。
 福岡では山歩きで採っていたのだが…。
 自生の北限が福島県だという。そうなのか。

 植物の北限というと、こちらには柑橘類がない。
 と思っていたら、柚子だけは、仙台でも育つという。
 ただ、これも、仙台あたりが北限だという。
北海道1   孟宗竹も、仙台あたりが北限だという。
 北海道人が東北に来て、竹林を見ると、
 「ああ、南国に来た」と思うそうだ。
 何!?
 北海道には、柿の木もないという。
 どうも、北海道というのは、恐ろしい土地のようだ。
 東北でも充分寒いのに、、それより寒いという。
 絶対に住みたくない土地である。
 ぼくの北限は仙台だと思う。

 その北海道に関してだが、
 日本全国で「どこの都道府県に住みたいか?」
 というアンケートを取ると、
 1.北海道、2.静岡、3.東京なのだという。
 なんですと?北海道が一番?
   おおかたは、でっかいどう北海道ということで、
 広々としている、ラベンダーだの牧場だので、
北海道28  空気がおいしくて、ロマンチックというイメージで
 単純にあこがれているんだろうと思う。
 寒いんだぞ、夏なんかろくにないんだぞ。いいのか。
  実際、北海道の人達に聞いた「住みたい県」の
 ナンバーワンは沖縄だという。暖かさにあこがれて
 いるわけだ。

 ところがだ、ここで変なアンケート結果がついて
 くるので、わからなくなる。なんと
 「自分の土地に満足しているか?」という調査でも
 北海道がナンバーワンなのだという。
 日本全国都道府県の中で、北海道の人が一番
 「自分の土地の暮らしに満足している」度合いが
 高いんだそうだ。これがわからない。
  と思っていたら、「現代県民意識の調査」という本
 で少しわかるような気がした。
  その本が言うには、
 「北海道には、日本では珍しい、個人主義が
屯田兵  根付いているようだ」というのだ。例えとして、
 冠婚葬祭の簡素化をあげる。北海道では、
 結婚式の披露宴は、会費制が一般的であり、
 葬式の香典返しなども省略されている。要するに、
 日本的なムラ社会のしきたりから開放されており、
 すごくオープンなクニらしいのだ。

   これは、東京人が田舎暮らしに憧れる場合に、まず
 思い浮かべる、長野県と比較すると、わかりやすい。
  長野県というのは、日本でも有数の姓氏少数の
 県である。例えば、鈴木さんだけの町がある。
 つまり、近縁結婚が多くて、本家、分家の意識が強い。
 しきたりや人間関係もうるさい。
時計台   なるほど、聞いているだけでウンザリする。

 それに比べると、北海道は、曾祖父がみんな他県人
 だから、寄り集まりの新大陸みたいなものだ。
  しがらみがないので、見栄を張ることもなく、ネタミや
 ひがみも少なく、さっぱりとしている土地柄らしい。
  どうも、そこのところが、北海道人が北海道を
 あのクソ寒く、夏もろくにもないにもかかわらず、
 暮らしやすいと思わせる、最大の要因じゃないかと
 いうのだ。なるほど、なるほど、意外であった。そうなのか。

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