石の2 小岩井農場の雪まつり


小岩井1 2月。バスツアーで、「岩手・雪まつり」に行ってきた。
会場は、有名な小岩井農場である。
バターやチーズなど、全国区の高級ブランド
だと思うのだが、ほんとにそうだっけ?
こちらだけにいると、わからなくなる。

ということで、九州の母に電話をして聞いてみた。
「名前は知ってるわよ、どこで聞いたのかは
わからないけど」と言うし、妹の久美子も
「TV・CMはわからないけど知ってる」と言う。
この妹の久美子は、宮城の漁港である気仙沼を
気仙という名前の、有名な沼だと思っていたという
そういう彼女が知っているというからには、
やはり、小岩井農場は広く知られているらしい
という結論に達した。

ぼくにとっても、小岩井農場はなんとなく、
おシャレ、という感じがある。
とにかく、バスは岩手県へと、せっせと走る。
雪の少ない宮城県に比べて、さすが岩手県は
雪が多い。走るにつれて一面が銀世界になった。

小岩井農場は、県都・盛岡の近くにあり、
県を代表する山「岩手山」の山裾に広がっている。
雪祭りの会場は、そのほんの一部で、
その中に、雪像を作り、子供のソリ遊び場を作り、
小岩井2 飲食の露店が並び、にぎわっているものの、
どちらかといえば、子供の楽園で、
大人が期待した程の規模ではなかった。
 この時期、札幌の雪祭りが再三、テレビで
映されるので、比べるなといっても、ついつい
比べてしまうので、そういう感想になってしまう。
それでも、快晴下の銀世界である、もう
まぶしくてまぶしくて、目を細めて歩いた。
正面には、雪をかぶった岩手山がドーンとあり、
これは絶景である。標高2039m。

昼食には、ラム肉のジンギスカン料理を食べた。
これが肉厚で実にうまい。東京や仙台のスーパーで
売られているペラペラの、ラムやマトンとはえらい違う。
これが本物なのだろう。

その後、雪祭り会場を離れて、近くにある牧場発祥の
建物に歩いた。古い建築物が残されていて、
今は歴史展示館として、自由に見学できる。
そちらは人も少なく、雪道をのんびり歩いた。
建物は、明治期の木造である。

小岩井農場は、明治24年に、3人の大資本家、
小野、岩崎、井上により創業された民営牧場で、
その3人の名前の頭をとって、命名された。
井上は鉄道庁長官、小野は日本鉄道副社長で、
岩崎弥之助というのは、三菱を創業した、
岩崎弥太郎の弟で、三菱財閥の2代目である。

まだ珍しい牧畜農場経営は、苦難の道であったが、
やがて、キリンビールが協力して、牛乳などを
小岩井3 販売流通させ、経営が軌道に乗った。
そう、キリンビールは三菱の系列会社なのです。

ぼくが子供の頃、長崎では、どこの料理屋も
キリンビールしか出さなかったという。
なぜなら、長崎が三菱造船所でもっている町
だからだと父が教えてくれた。

雪祭りに行った二日後、東北に大雪が降った。
仙台の我が家でも、久しぶりに雪かきをするほどで、
あちこちで、スリップ事故が発生していた。
ニュースを見ていると、岩手県でも紫波町で、
牛乳を積んだタンクローリーが横転したという。
地理からして、小岩井農場の牛乳なのだろう。
道はシャーベット状だったという。
もし、牛乳が大量に流れ出ていたら、
ミルクシャーベットだ。もし、それに卵と砂糖を
加えれば、ミルクセーキになるよな、と、
ぼんやりと想像した。

(2005年2月)

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