石の2 コスモス、そしてマリーゴールド

コスモス1 あいみょんが歌う「マリーゴールド」という曲が、数回聞いただけで
頭を離れなくなってしまった。ヒット曲というのはそういうものだろう。
夏の麦わら帽子の君が、揺れるマリーゴールドに見えるというサビ
の部分が良いのだが、なるほどマリーゴールドはそれなのか…。
マリーゴールドという花は、今では日本でも一般的になってしまったが、
ぼくがこの花を初めて知ったのは、1980年代の香港旅行の時だった。
繁華街にやたら目立っていた。メキシコ原産の花だが、当時イギリスで
流行っていたので、香港でも流行り、その後、日本でも流行った。

ぼくらも新婚の頃、庭に植えたが、なかなか強靭な植物であった。
驚いたのは、黄色い花の塊りを、もう終わりだと思って、もぎ取って、
そこら辺に捨てて置いたら、そこから根が生えて、もうひとつ育って
来たのである。なんだこれは!と驚いたものだ。

そして、この1980年代からもう一つブームになった花がコスモス
である。こちらもメキシコが原産であり、灼熱の、水分が少ない土地が
発祥なので、水分の蒸発を防ぐために葉っぱは細く、茎も細い。
コスモス2 この頃、歌謡界では山口百恵の人気が最高潮に達していたが、その
彼女が歌った、さだ・まさし作曲の「秋桜(コスモス)」という曲がヒット
して、コスモスの値打ちを上げたのではないだろうか。コスモスに秋桜
という名前を当てたのは、さだ・まさしである。しかし、これをきっかけに
日本各地の河川敷や道路沿いに植えられて、コスモス・ロードなどが
出来るようになり、すっかり日本の秋の花として定着してしまった。

そして、2000年を越えた頃から、初秋の植物として人気が高まった
のがコキアである。ほうき草とも言うが、夏には緑で、秋には赤紫色
になり、その色が鮮やかなのでボヤ―っとした形状と共に目立つのだ。
これが冬近くになって枯れると、本当に箒のようになり、実際に箒に
使われたりするので、とてもおもしろい植物である。今では、あちこちの
家庭の庭に植えられているし、あちこちの植物園でも人気である。

そして最近急激に人気になりつつあるのが、青くて小さくて可憐な花
ネモフィラである。それが丘を埋める程に咲いている風景が人気に
コスモス3 なり、今では日本中から観光客が訪れるようになったのが、茨城県
にある「国営ひたち海浜公園」である。ぼくらも行ってみたが、その
群生が青空に溶け込む風景には、うっとりとして感激したもんだ。
そして今では、ホームセンターでも、苗が売られるようになり、各地の
植物園の片隅でも見られるようになってきた。ただ、これが普通の家
の庭で流行るかどうかはわからない。弱い花らしいのだ。

仙台の我が家は一軒家で、それなりの庭があり、妻がいろんな花を
咲かせているが、その一角に藤棚がある。毎年、5月になると白い
フジが咲くのだが、咲いたと同時にクマンバチが必ず2匹やってきて、
そこら辺でブンブン飛んでいる。クマンバチというのは丸くて大きく、
知らない人は怖がるが、実は図体の割には温厚な蜂で、ほとんど
刺すことはない。近寄っていっても、向うからよけてくれる。ただ
「このフジはオレのもんだぞ!」と主張するだけだ。公園の藤棚に
行っても、一定量のクマンバチが同じことをしている。我が家の
藤棚の量では、おそらく2匹分に相当するのだろう。毎年やってきて
はブンブンしている。かわいいものだ。もちろん、藤の花の開花が
終わると同時に姿を消して、どこぞに飛んでいく。
(2019年10月)

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