石の3 秋田・本荘マリーナ・オートキャンプ場がいい


8月、海に夕日が落ちるキャンプに行くことにした。
当然、日本海側になる。仙台から奥羽山脈を越えて、山形県へ。
最近出来たばかりの、片側1車線の高速・山形道をひたすら西へ。
車がほとんどいない。海に面する酒田市が終点。
 酒田市からは海岸線を北へと走る。 広々とした風景である。
東の平野に屹立しているのが「鳥海山」標高2236m。
独立峰で、富士山のように気高く、麓も広い。だもんで、
 麓の中・高校は、どこも校歌に、それを歌い上げている。

仁賀保高原 仁賀保高原2
















県境を越えて秋田県に入り、象潟(きさかた)を過ぎると、
山の方に、白い風力発電塔の並ぶ丘が見えてくる。
仁賀保(にかほ)高原」である。とても印象的なので、
上がってみることにした。近づいてみると、これはすごい。
酒田 山稜の上がなだらかな牧場になっていて、その中に高さ60m
の白い塔が点々と、16基も並んでいるのだ。
風を受ける立地なので、当然、見晴らしも抜群、日本海が
正面にあり、大きなプロペラがゆっくりと回転していて、
風の谷のナウシカ気分になる。

再び、海岸道路に降りて、少し北へ走ると、今回予約していた
本荘マリーナ・オートキャンプ場」に着く。
出来てまだ2年あまりの、新しくきれいな芝のキャンプ場。
市街から近く、買い物にも困らない上に、海水浴場に隣接して
いるので、砂浜が目の前である。目の前に水平線が広がり、
180度それを邪魔するものもない。うーん、理想に近い。

考えてみれば、福岡や長崎も日本海側であり、何回も海への
キャンプには行ったのだが、半島や島が多くて、夕陽の海入り
の絶景を邪魔するのだ。また、雲の筋に隠れる。
思い余って、二人でハワイに行った。ツアー旅行だった。
ワイキキ・ビーチで念願の、海に沈む夕日を見ることができた。
近くの突堤から海にダイブして遊んでいた現地の若者達が、
夕日が海に沈んだ瞬間、みんなで拍手をした。驚いた。
彼らは毎日、このような風景に接しているだろうに、それでも拍手だ。
素直な喜びなのか。いいなあ、と思った。
そのハワイと同じような海岸線が、今、目の前にある。
テントとタープを張り、椅子に腰掛けて酒を飲みながら
ぼくらは夕焼けを待った。
酒田2

青空の下、白く散らばっていた雲が黄金色になった。もうすぐだ。
ぼくらは、酒と椅子を抱えて、歩いて数分の浜辺に出かけた。
ショーが始まろうとしていた。すぐ後ろに地元言葉をしゃべる
おばさん3人組が座って「あら、いい時に来たわあ」と喜んでいた。
水平線の上には、薄い黒い雲が横になびいていたが、夕日は
酒田3 その下に降りてきて、周囲をひとしきり明るく照らした後、
水平線にジュっと浸かった。おお!と声を上げた。
それからが速かった。みるみる身を沈めてゆき、
最後に黄金の光を残して、夕日は頭の最後を海に沈めた。
ぼくらはハワイでの感動を思い起こして、思わず拍手をした。
すると、うしろで眺めていた秋田のおばさん達三人も同時に
拍手をした。振り返り、笑顔を返し、喜びを分かち合った。
うれしかった。ハワイも秋田も同じである

日が暮れて夜になって、キャンプ場では花火は禁止だったが、
砂浜では若者が花火をしていた。そして、遠くの海岸線に、
隣町だろうか、打ち上げ花火の大輪が見えた。夏満喫。

翌朝は、7時に起きると、晴天の空にイワシ雲だった。
海風が快い。チェックアウトが午前10時。
それに合わせて、テントなどを干す。

昼すぎ、海岸道路を南下して、山形県に入る。
もうひとつの候補だった「庄内・夕日ヶ丘オートキャンプ場」を
酒田4 見学した。酒田飛行場のすぐそば、松林の中にある。
ただ、このキャンプ場は、海岸から1キロも離れており、
水平線に沈む夕陽は、林に邪魔されて見えない。

「酒田飛行場」のみやげもの売り場に立ち寄った。
山形特産のみやげとして、「だだちゃ豆」を さかんに宣伝していた。
要するに枝豆である。枝豆といえば、仙台ではそれをすりつぶして
砂糖を加えた緑色の「ずんだ餅」というのが名物であるが、
山形の枝豆は、仙台の枝豆とは少し種類が違うらしく、
ずっと小型で香りが強く、試食してみると、確かにおいしい。で、
ただの枝豆とは違うという自負のもと、昔からの「だだちゃ豆」と
いう名称で、発泡スチロールにいれて、冷蔵パックで売っている。
これは、東京でも九州でも喜ばれるんではなかろうか。
だだちゃ豆のソフトクリームをなめながら、仙台に向かった。

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