石の2 初めての大阪…その1

大阪1 大阪にはとんと縁がなかったが、その分、興味はあった。特に
ケンミンショーで紹介される大阪人はおもしろくてしょうがない。
とにかく、日本の中でも特殊な文化を持つ地域らしい。
今回は桜の花見ということで、2泊3日のツアーに参加した。
まず仙台から飛行機で伊丹空港へ飛ぶ。1時間ちょっとである。
途中、飛行機の窓から雪をかぶった富士山がきれいに見えた。
感激である。浜名湖もわかった。地図通りである。大阪に近づくと、
市街地の上を飛んでいるのがわかる。地上に降りて町を歩いて
いる時にさらにわかったのだが、大阪は福岡と同じように、街の
上を旅客機が低空でバンバン飛ぶ街なのである。東京では羽田
の新ルートが東京上空を飛ぶことになるのではないかと反対運動
が起きそうになっているが、あんなのは慣れればなんてことはない。

伊丹空港からツアーバスに乗り、大阪の中心街に向かうと、さすが
に大都市である。東京の首都高と同じようにやたらと立体交差して
いる。既に夕焼けになっていて、高層ビルや川面が輝いていた。
今回まず行くのは、今日4月9日から始まった大阪の花見で一番
有名な「造幣局の通り抜け」である。
しかしバスが駐車したのは、大阪城の駐車場である。観光バスが
年々増えているために、駐車する場所もどんどん遠くになるらしい。
そこから造幣局まで、旗を持ったバスガイドの先導で20分も歩く
のだ。造幣局というのは国の施設であり、普段はその敷地内には
大阪1-2 入れないのだが、施設内の桜並木があまりにもキレイだというので、
桜が咲く一週間に限り開放されるのである。大阪市民にとって
「造幣局の桜」というのは独特のワクワク感があるようだ。そのため、
とにかく人混みがすごかった。

入り口から入ると一方通行の通りを540mほど出口まで歩くだけ
だが、実は造幣局の桜は遅咲きの桜の品種が多く、、ソメイヨシノの
満開よりも遅いために今回も実は6分咲きだった。ところが、造幣局
の外側には大川に沿ってもう一つ通りがあり、そちらのソメイヨシノの
桜並木も実に見事であり、こちらは満開なのだった。そして、こちら
には食べ物の露店がズラリと並んでいる。その規模たるや、仙台でも
福岡でも東京の上野公園でも見たことのない長い列である。その混雑
もすごい。平日の夜だったので、会社帰りに飲みに来たサラリーマンも
多い。新入社員歓迎会も多そうだ。カップルも多い。それに加えて外国
人観光客がとにかく多い。白人はもちろん、中国、韓国、台湾、ベトナム、
タイ、などのアジア人が入り混じっている。

大川沿いに並んでいる露店は数もすごいが、その多くがテーブル席を
持っていて、広い店内になっているというのもすごい。まるで、
海の家と同じ広さがある。だからメニューも焼き鳥から串焼き、
焼きそばを初めとしてあらゆるものを売っている。大阪なので、たこ
焼きと、お好み焼きはもちろんである。ただ、おもしろいと思ったのは、
網で焼いたサザエの壺焼きを売っている店が多かったことだ。酒の
大阪1-3 つまみにいいだろうが、普通サザエの壺焼きといえば、夏の海の家
が定番である。花見の露店で見たのは初めてだった。関西では普通
なのだろうか?

すぐそばには大川があり、東京の隅田川の風情を思わせるが、
隅田川と違うのは、川の水位がずっと近いということだ。隅田川は
堤防から川面までがけっこうな高さがあるが、ここでは水辺が
ずっと近い。そして、大川には花見クルーズの船が光を弦側に
灯して何隻も行き交っていて、なんとも優雅な花見の夜だった。
ぼくら夫婦も露店でハイボールを買って飲みながら散策したのだ。
その後、大阪城の駐車場まで戻りバスでホテルに向かう。場所は、
阿波座という少し中心部から離れた町だった。ビジネス街だと
いう。ホテルに荷物を置いてから、ぼくら夫婦はいよいよ初めて、
大阪の繁華街に乗り出したのである。まずは「道頓堀」である。
…つづく。
(2019年4月)

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