醤油ラーメン
2の石 とんこつラーメンと醤油ラーメン


しょうゆ  仙台に来ると、東日本だから当然ながら、醤油ラーメンの世界である。
 豚骨ラーメンになじんだ福岡からやってきて、久しぶりに醤油ラーメンを
 食べたわけだが、どうもおいしくない。しかも、値段が高過ぎる!
 こんなもので一杯700円も取るのかと仰天した。東京値段である。
 福岡の豚骨ラーメンは普通、一杯350円~400円である。
 器ももう少し小さ目で、お手軽な食べ物なのである。

 ラーメンといえば、全国的には醤油ラーメンなんだろうが、
 九州人のぼくは、18歳で東京に出るまで醤油ラーメンを
 食べたことがなかった。九州といえば、ラーメンは豚骨スープであり、
 醤油ラーメンの店は存在しなかったのだ。
 東京に出て来て初めて食べた醤油ラーメンについては、なんで
とんこつ  こんなに味が薄いの?というのが最初の感想だった。

 しかし、東京には16年間暮らしたので、そのうちに醤油ラーメンにも
 すっかりなじんでしまって、うまいなあと思うようになった。特に、
 仕事を終えて飲み会の後、中央線に揺られて東小金井駅で
 降りると、そこにラーメン屋台が待っていて、これがうまかった。
 当時の東京にはまだ豚骨ラーメンの店はほとんどなかった。
 1980年代である。

 そして、1989年に仕事のために、東京から福岡に引っ越したのだが、
 こちらは博多ラーメンという豚骨ラーメンの本場である。味が濃くて
 本当にうまい。あのスープはどうやって作るのかというと、豚の頭と
 骨を一昼夜とことん煮るのである。だから白濁スープになる。
 そして、麺も細くて硬くゆでるので、実に食べやすい。

 ただ、ぼくは東京で、醤油ラーメンの味も覚えたので、時々むしょうに
 醤油ラーメンが食べたくなり探しまわったこともあった。ところが、
 ぼくらが福岡から仙台に引っ越した1996年でさえも、福岡市内に
 醤油ラーメンの店は数軒であり、、札幌味噌ラーメンにいたっては
とんこつ  1軒しかなかった。
 そしてまた今、醤油ラーメンの世界である仙台に来た。
 今度は豚骨ラーメンの店を捜し歩くことになるかもしれない。

(その後、仙台におけるラーメン事情がいろいろとわかってきた。
 まず、仙台には、醤油味、味噌味、塩味などいろいろとあり、
 これといった仙台味というのがないようである。そして、ぼくらが
 仙台に引っ越した翌年あたりから東京で豚骨ラーメンの人気が
 高まった影響を受けて、仙台でも「とんこつラーメンやってます」
 という店が出てきたのである。ところが、どれどれと食べてみると、
 どっかからパックで買ってきたような豚骨スープに、醤油ラーメン用の
 かんすいを使った太麺だったりの、がっかりするようなものが多かった。
 最近はそういうことはなくなったが、本格的なとんこつラーメン店は、
 2003年の仙台においても一ケタしかない。

(その後、宮城県内にかかわらず東北のあちこちをドライブして、
 田舎のラーメン屋さんに入ると、おいしい醤油ラーメンがあることを知った。
 昔風の素朴な、いわゆる中華そばである。最近の、背脂のコッテリ味やら、
 究極のダシ味などと凝った味のラーメンより、ずっとおいしい。)

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