石の2 精神世界


反戦、反体制運動の1970年代が終わると、
ノストラダムス2 1980年代には、「超能力」や「UFO」そして、
「瞑想」、「精神世界」がブームになった。

社会変革への思いが、人類そのものの変革へ、
そして精神世界へと、一気にスライドしたのだ。
奇跡や不思議を信じる人が増えた。

宇宙人と交信していると称する人々は、
「今のままでは、人類は滅亡する」と警告し、
「ノストラダムスの大予言」がブームになり、
世紀末的な終末感が世を覆った。

それに拍車をかけたのが、環境問題である。
化学物質による食品汚染や、土壌の汚染、
二酸化炭素による地球温暖化、地表の砂漠化、
オゾン層の破壊、そして、人口爆発。

特に、人口爆発とまで言われる、人口増加だが、
1960年に30億人だった地球の人口は、
30年後には、ほぼ倍の、50億人になった。
このまま推移すると、2060年には、
地球上は人類で満員電車のようになる計算である。
瞑想3 地表で生産される食料にも、限界がある。
どーするのだ?
もはや、国々の問題ではない。人類の問題だ。

おりしも世界的に、新しい世代の科学者達によって、
トランスパーソナル(超個)心理学が、生まれていた。
人間の心は、意識の深い所で、
あらゆる人々、地球の意識、全宇宙とも繋がっている
という壮大な、超心理学の世界だ。
しかも、
人間は肉体が滅んでも、霊体の意識として生き続ける、
という霊界の存在も示唆していた。
そうなれば、人口爆発も大丈夫。
飢餓とも、戦争とも無縁になる。
霊の世界への解脱が、人類の進化なのかもしれない。
自己変革を目指して、瞑想をする人が増えた。
リゾート1 ビートルズはインドのヨガ指導者の下に行った。

ぼくらも、いろんな瞑想団体のワークに加わったり、
同じ脳波レベルになれるということで、催眠法も
本格的に勉強したりした。ついには、
そういうコントロール法のインストラクターまでやった。
人間の生きる目的は、人類の進化なのだ!
それが人生の意味なのだ、とまで思った。

しかし、瞑想とは、そう簡単なものではなかった。
催眠法というのも、大方はウソである。
精神世界での、まやかしの、最も大きなものは
「魂の指導者がいる」という考え方である。
それが、変なオカルト宗教を生む。
しかし、実際は、誰も、他人を指導することはできない。
自分のことは自分に聞くことだ。
精神世界は、あくまで個人の履歴である。
何の努力もいらない。普通に自問自答してればいい。
人類の進化なんて、勝手にやってくるさ。
おいしいもんを食べて、普通に生きよう、と思った。
(2000年)

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