石の2 シャコは美味い!旬は初夏だ。


しゃこ1 ぼくは回転寿司屋に行くと、シャコを好んで食べる。
しかし、2008年に、中国の毒ギョーザ問題が発生してから、
よおく調べてみると、回転寿司で出すシャコというのは、
ほとんど中国産である。あちらで獲れたものを、あちらの工場で
処理して冷凍して輸入してくるという。これはヤバイと思った。
それ以来、回転寿司でシャコを食べることは辞めた。

しかし、シャコ自体は好きなので、なんとか食べたい。
要するに国産ものを食べればいいわけである。
福岡にいた頃、柳橋連合市場で、生きたシャコを
洗面器いっぱい千円で売っていたのを見つけて、買ってきて、
自宅でゆでて食べたことがある。あれは何月のことだったか?
そこで、ネットの検索で調べてみると、初夏が旬であるという。
うーん、やはり旬があるのだなあ。だいたい、回転寿司で
年がら年中、出しているということ自体がおかしいのだ。
まだ初春だったので、初夏を待つことにした。

そういう折、4月初旬に県南の「鳥の海」の干潟に、潮干狩りに行って、
帰りに地元の「荒浜」という店で昼食を食べた。基本的には寿司屋だが、
地元の旬の食材を使った郷土料理で有名な店である。
しゃこ2 この季節は、「はらこ飯」と「ほっき飯」である。

「はらこ飯」というのは、鮭の身で味付けした御飯に鮭の切り身を
まぶしてイクラを乗せたもので、県南の自慢の郷土料理だが、
ぼくは生臭くてあまり好きではない。
「ほっき飯」というのは、ホッキ貝で煮込んだ御飯である。
ホッキ(北寄)貝というのは、西日本人には馴染みがないが、
二枚貝で、昔のハマグリくらいの、かなり大きな貝である。
生で食べると甘みがあり、とてもうまい。一個百円くらい。
この時は、旬ということで、ホッキ飯を食べたのだが、
メニューを見ると、「シャコ飯」というのも書いてある。ほ!
しかし、シャコ飯はまだやってないという。いつから?と聞くと、
5月後半に網を入れるので、その後になるという。
まぎれもなく地元産である。ワクワクした。

そして、機が熟すのを待って、6月4日に行った。
店に近づくと、「シャコ飯」と染めたノボリが風に翻っていた。
ぼくは席に座ると、迷いもせずそれを注文した。1750円。
シャコ味で炊かれた飯の上に、子をタップリ抱えたシャコが
しゃこ3 6匹は乗せられていただろうか、実に美味いものだった。
ダシをろくに取っていない味噌汁には閉口したが、
(宮城県の味噌汁というのは、伝統的にダシを取らないのである)
日本産のシャコを満喫して幸せであった。

その3日後、妻が仕事の帰りに、仙台市場に寄って、
生きたシャコを買ってきてくれた。9匹で千円だった。
ゆがいて、ハサミで殻を切ると、コリコリした子もたっぷりだし、
酢醤油で食べると実にうまかった。なんだ、シャコ飯を食べに
出かけにゆくよりは、こちらの方がずっといい。
ということで、優子が仕事の帰りに市場に寄っては、
いいもんがあると買ってきてくれて、都合3回は食べた。
感謝、感謝。旬はやがて終るのだが、それでいい。
一年中食べられるということの方がおかしいのだ。
来年をまた待とうと思った。
(2008年6月)


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