石の2 筑紫哲也と鳥越俊太郎


鳥越1 このお二人、どちらも当代の人気ニュースキャスターであるが、
その髪の毛の多さといい、白髪になったところといい、
大変似通った感じがする。混同している人もいるのではないだろうか?
どちらもなかなかオシャレで、中年の色気のある知識人である。
筑紫はユニクロのモデルとしても、度々登場しているし、
鳥越もワイドショーで、シャツの上のボタンを二つも外したりして、
おやじファッションをそれなりに意識しているようである。
この二人、比べてみるとなかなかおもしろい。

二人とも九州人である。
筑紫は大分、鳥越は福岡。筑紫の方が二つ年上。
筑紫の方が、テレビに進出したのが早かったので、
なんとなく、鳥越を筑紫の二番煎じと思った人も多かったのでは
なかろうか?実はぼくがそうだった。
ただ、出身母体がまるで違うのである。

筑紫は、東大から朝日新聞の記者になり、後に
朝日ジャーナルの編集長になった。
一方、鳥越は、京大から毎日新聞の記者になり、
サンデー毎日の編集長になった。
この違いはものすごく大きい。

鳥越2 朝日新聞は民衆を煽るプロパガンダの傾向があり、
毎日新聞は、細かい事実を丁寧に追うという傾向がある。
どちらも、新聞の使命としては正当なのだが、
朝日新聞に関しては過去に、北朝鮮を天国と宣伝し、
中国の文化大革命を賞賛したという大失態がある。
それに懲りずに、今でも日本軍の南京虐殺を、数を捏造してまで
過度に弾劾し、従軍慰安婦問題でも日本を糾弾している。
これが本当に日本の大新聞なのだろうか?と不思議である。
過去の日本の侵略戦争を反省するというよりは、自虐的であり、
今に至っても、中国と朝鮮が日本の悪口を言う度に、
ごもっとも、ごもっともと追従している反日マスコミである。

1987年に連合赤軍による浅間山荘事件が起こった時、
ぼくは、大手新聞を毎日、3誌読み比べて、最後に
毎日新聞を取ろうと決めたことがある。事実に即していて
常に冷静だったからだ。朝日新聞とはかなり違う。
筑紫さんはテレビで穏やかな口調で、多事争論などを語り
その影響力は強いが、よくよく聞いていると、かなり高所から
ものごとを言っていることが多い。こうあるべきだと…。
それに比べると、鳥越さんは「ザ・スクープ」で、
よくまあ、こんな事件を執拗に追うもんだと感心するほど、
事実に執着するんですね。事件記者そのもの。
戦乱のイラクでは、従軍体験もある。

鳥越3 鳥越さんというのは、テレビに出てきたのは、
筑紫さんより、かなり遅かったが、最初にぼくが見たのは、
チェルノブイリからの現地報道だった。
もろに九州弁のアクセントなので、ガクッときたもんっだ。
最近はだいぶんマシになった。それに比べて筑紫さんは
全く訛りがない。実は、筑紫さんは高校から東京なのである。
やがて、鳥越さんも、筑紫さんに負けないくらいの有名人になった。

その後、二人ともガンに侵され、二人とも公表し、
どちらも手術を受けて、闘病生活から生還している。
中立に見えて、朝日新聞の体質が抜けない筑紫さん、
泥臭く、事実を常に追いかけている事件記者の鳥越さん。
どちらもジャーナリストとして、がんばって欲しいものである。
(2008年8月)

…筑紫哲也さんはこの年に亡くなったが、鳥越俊太郎さんは幾度かの
 ガン手術を乗り越えて2016年になんと、東京都知事選に立候補
 した。全野党統一候補である。しかし、その言うことを聞いていると、
 全くのシニア左翼である。昔の反体制運動が忘れられないらしい。
 がっかりした。(2016年8月)

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