2の石 東武ワールドスクエア


貿易ビル  前々から行ってみたいテーマパークだった。
 世界の建築物を1/25縮尺で再現してあるという。
 栃木県の日光・鬼怒川温泉の近くである。
 2000年10月。マイカーで行ってきた。

 入園料・大人2500円。入り口を入ったすぐに、
 レストランやみやげ物店と、休憩広場があり、
 その先から、園内が始まる。
 最初は、日本の国会議事堂である。
 庭木の一本一本が、本物のミニ植物である。
 手入れが必要とされるものであり、このパークの
 維持管理の意気込みが、うかがえる。

 その先は、ニューヨークから始まる。
 自由の女神があり、港があり、マンハッタンがある。
 エンパイアステートビルと、貿易センタービルが、
 選ばれて、その周辺の道路と共に再現されている。
 貿易センタービルは、際立って高い。
  その高さは園内のどこからも見える。その時のぼくらは、
 「すごいなあ、高いなあ」とただ、見上げていただけだった。
  それが、テロによって破壊されたのは、それから、
 ほぼ一年後の9月11日である。
  だから、事件が起こった時、ものすごくリアルに感じた。
教会  ビルの下の道路に歩いていた人形達が
 とても小さかったのだ。
  その事件の後の大晦日、ワールドスクエアでは、
 いつもの通り、すす払いをやったが、貿易センタービルも
 ちゃんと、きれいに掃除したそうだ。今も健在である。

 NYの先が、ピラミッドで、その先の角を曲がると
 ヨーロッパになる。
  ヨーロッパの有名な建築物が全て、揃っている。
 ミニチュアは精巧であり、配置されている人形も精巧である。
 人形の動きはそれぞれに個性があり、ユーモアもある。
  たいしたもんだ。ただの模型庭園ではない。
 補修作業をしている職人さんがいたが、これは、けっこう
 楽しい作業ではなかろうか。

 ヨーロッパの建築物で、まず感心したのは、
バチカン  フランスのベルサイユ宮殿。その敷地の広さである。
 しかも、これが、トイレのない宮殿だったという。
 おマルにして捨てにいったか、そこらへんにしたらしい。
   次に驚いたのが、イタリアのバチカンの、
 「サンピエトロ寺院」。めちゃくちゃ巨大である。
 キリスト教の本山であるにしても、。
 宗教の威厳を示すためには、ここまでやるか
 というくらいの、大建築物である。

   ヨーロッパの次はアジアであるが、
 日本の有名建築は、東大寺ですら、小さく感じる。
 木造建築というのは、大きくするには限界があるのだ。
 ただ、そのアジアで、ひときわ異彩を放っているのが
 「アンコールワット」である。
 カンボジアの森林の中に眠っていたという、石造りの神殿だ。
 なんと巨大な…。これは、アジアの誇りである。
 これこそ、世界遺産の価値がある。

 このテーマパークは、とても知的好奇心を刺激する。
 縮尺が同じなので、比較ができるのだ。
  実際のものを、世界中見て回ることのできる金持ちは
忍者  限られているが、普通の人でも、ここに来れば
 それなりの世界一周ができるのだ。
 まがいもの、といわれれば、それまでだが、充分楽しめるし、
 見る価値がある。客が少なかったので心配だが、
 いつまでも、つぶれないでいて欲しい。

 この東武ワールドスクエアの、すぐ鼻先に、
 「日光・江戸村」という人気のあるテーマパークがある。
 ぼくらは時間がなくて、行かなかったが、その日の夕方、
 酒に酔った団体客と、忍者達との間で、喧嘩沙汰
 があったという。全国ニュースで流れていて、驚いた。
  酒に酔った客を、忍者がたしなめたら、その客が
 逆上して、忍者に殴りかかったのだという。
  もちろん、忍者は制したのだが、相手はお客さん。
  双方にケガ人が出たという。
 忍者にケンカを売ってはいけません。(1998)

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