基本の石 米沢の雪灯篭祭り


東北にありながら、仙台はきわめて
バスツアー1 降雪の少ない都市である。
もちろん降ることは降るし、積もる時は積もる。
ただ、けっこう、あっけなく溶ける。

こちらに来た当初は、よし!と腕まくりしをして
しゃにむに、雪かきに、いそしんでいたが、
昼には溶けるくらいの積雪に、わざわざ、
汗して雪かきするのは、徒労のような気もする。

冬期間の休日は、ぼくらはもっぱらスキーに
行くことにしているが、
たまには雪に埋もれた町も歩いてみたい。
なにしろ、県境の峠を越えた向こうの山形や、
秋田の町や村は、そういう雪景色が常態らしい。
 しかし、さすがにマイカーで行く勇気はない。
ぼくらは、冬には県外に出かけない、と決めている。
でも、行ってみたい。
それなら、日帰りバスツアーである。
読売旅行で、「米沢・雪灯篭祭り」にした。

2月10日。夜の祭りなので、仙台を出発したのが
正午過ぎ。雪のない仙台を出て、福島県まで
南下するが、やはり雪はない。
ところが、福島県飯坂から、内陸の米沢市に向かう
栗子峠に向かうと、いきなり白くなった。
峠を降りて、米沢盆地に入ると、
すっぽりと雪景色だった。

米沢102 田畑も家も雪に埋もれている。わあ、すごい!
美しい!真っ白である。
ここを雪かきしたならば、終日楽しめそうである。
しかし、現地の人にとっては、そんなバカなことを
言う余裕もない。町のあちこちで、雪かき用の
ミニ・ユンボが活躍している。そうか、本当の雪国では
あれでやるしかないかと納得した。

灯篭祭りは、旧米沢城にある上杉神社を中心に
行われる。雪の灯篭がズラリ並ぶ。
その中に、ローソクの火が灯される。
冷たくて青白い雪の造形の中に、暖かい灯がユラユラ
と道に沿って並ぶ。幻想的である。
来てよかったと思う。
空が暗くなり、観光客がそぞろ歩く。
 車道沿いにも、オレンジ色の灯を抱いた雪の
ミニ灯篭が数限りなく続く。
童話の国に迷い込んだような体験だった。

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