2の石 雪である

飛行機  1996年2月。仙台空港に降りると、寒かった。
  そして、雪が降っていた。おお雪だ!と感動した。
  広い平地が白銀の世界である。おお!おお!
  九州人にとっては、まさにメルヘンの世界である。
   道端の除雪された雪の固まりにも、感動した!

  迎えに来てくれた妻の母が、バスの中で
  「仙台には、普通、こんなに雪は積もらない」
  と強調する。
  そういえば、過去に何度も、優子の正月の里帰りに
  付き合っているが、雪の記憶があまりない。
   仙台は、東北においては珍しく、雪が少ない土地なのである。
     それでも、その日、引っ越した、妻の実家の庭は
    忠臣蔵状態であった。

雪かき   数日後、新しい雪が降って、玄関前の道路が
  白くなった。
   そして、初めての 雪かき を体験した。
  楽しかった。また感動した。
  うれしくて、隣の家の前、その次の家の前と、
 次々にやった。けっこう汗ばむ。
  軽装になってやると、さらに楽しかった。
  それからは、雪が降る度に、
 喜んで外に出てやっている。
  年寄りの多い住宅街なので、町内では
  たいへん感謝されている。
  嬉々として雪かきをするボクを見て、
  各町内に一人、九州人が欲しいと、
  町内会長が言った。

  しかし、確かに、仙台は、豪雪地帯というイメージ
  のある東北像には、あまり当てはまらない。
  雪かきなど、たまにするくらいで済んでいる。
  本当の豪雪地帯は、東北の日本海側なのである。
  つまり、青森、秋田、山形など。
豚ゆきかき1   そこでは、冬の間、毎日が雪との格闘だという。
  雪は敵であり、白魔とさえ形容されている。

   秋田の親戚が仙台にやってきた時、雪のない仙台を見て、
 「同じ東北なのに、どうしてこんなに不公平なの?
  ああ、雪さえ降らなければ、どんなに楽か」と本気で嘆いていた。
  ぼくには、不思議でしょうがなかったが、
  後々、日本海側の豪雪地帯の不便さを、ニュースで見るにつけ、
 なるほど、こりゃ大変だろうなと思った。
ゆきかき268   優子の実家が仙台でよかったと思った。

  2001年の河北新報の、生活欄の「教えて下さい」の
  コーナーに女性のこういう投書があった。
  「南国から引っ越してきました。雪が大好きです。
  そして、雪かきがとても楽しいです。もっと雪かきがしたい。
  もし、雪かきをするボランティアの会があれば教えて下さい。」 
  それを聞いたこちらの人が、「すぐ、いやになるよ」
  と言ったが、この女性の無邪気さ、同じ南国人として
  よくわかるなあ。
ゆきぶたつああー    

2の石 元に戻る