石の2 海に沈む夕陽…新潟

夕陽1 先週、夫婦で車を運転して新潟に行ってきた。
水平線に沈む夕陽を見たい!という趣旨だった。
高速をバリバリ走ったら3時間ちょっとで着くというが、
国道の方が風景はずっとおもしろいので、道の駅などに
寄りながら行ったら5時間ちょっとかかった。

新潟市には、海辺に「朱鷺(とき)メッセ」と言う近代的な国際会議場が
あり、それに隣接する31階の多目的高層ビルがあるが、その31階には
市民が誰でも行ける、無料の展望室がある。そのパノラマが素晴らしい。
そのビルの上半分が、日航ホテルになっていて、今回、ぼくたちはその
25階の部屋を予約して泊まった。

しかし、実際に新潟に行ってわかったことがある。
新潟というのは、北陸の金沢と同じく、晴れの日が少なく、雨や曇りの日が
多いということだ。年間で快晴は16日くらいしかないという。だから、新潟
では、悔しいので、曇りでも雨が降らなければ「今日は晴れ」と言うことに
しているという。だから、本当に雄大な素晴らしい夕焼けを見れるのは
実際は少ないのだ。ぼく達はその快晴の暑い夏日を狙っていったので、
夕陽が見られるはずだった。

しかし、もうひとつわかったのは、実は新潟市では、海に沈む夕陽は
見られないということだった。佐渡島がジャマするのである。
夕陽2 佐渡島というのは実に大きい島なのだ。それが水平線に横たわっている。
ホテルマンが言うには、新潟市のどこに行っても、水平線は佐渡島が
占めているという。そうなのか、と初めて知ったのだった。
海に沈む夕焼けを見ようとすれば、山形県の方がよかったのだ。
それでも、31階の展望室からは、線香花火のような赤い玉が消えるまで
ちゃんと見られたのだ。そして、その後の夕焼けは広大だったし、その後に
ホテルの部屋から見た新潟の夜景もきれいだった。ぼくらは珍しくテレビ
もつけず、お酒を飲みながら、その夜景を見て過ごしたのだった。

新潟市自体も昼間にはちゃんと観光した。一応、人口85万人の
大都会であり、本州の日本海側で唯一の政令指定都市なのである。
中心街は古町と言って賑やかだし、大阪や京都や金沢と比べると
外国人観光客はほとんどいないが、昭和の雰囲気の残る地方都市
として快い。
だいたい、新潟県の成り立ちがとても独特であり、おもしろいのだ。
新潟というのは、信濃川と阿賀野川という有数の大きな河が
日本アルプスから砂を運んできて堆積して出来た、広大な遠浅の砂浜
の上に出来た街なのである。戦国時代から領主となった施政者は、
その広大な湿地を干拓して水田にすることに没頭してきた。そして
明治時代には、その水田の多さによって、農民の数が膨大になり、
一時は新潟県が人口の多さで日本一になったこともあるのだ。
そして、今ではコシヒカリという米の品種のおいしさで有名になり、
夕陽3 日本酒の美味さでも有名になった。

新潟市に来たら、新潟駅前から出ている市内循環バス(230円)に
乗ることをぜひお薦めする。市内の主な見どころを右回りに一時間
くらいで回ってくれる。これで、新潟市の地形がほぼわかる。ずーっと
平地だろうと思っていたら、途中、新潟大学の辺りに急な坂がある。
海辺の砂浜には海風で吹き上げられた山が出来るものだが、それが
大きな地形として残っているのである。そういうのがおもしろい。
そして、グルッと回って、もうすぐ新潟駅に帰るという少し手前の
「ピアBandai」という場所で降りて欲しい。そこは魚市場のような
新潟の魚介類を売る売店が集まっていて、露店の飲食店もあり、
さらに新潟では一番人気がある「弁慶」という回転寿司店がある。
金沢では「モリモリ寿司」という回転寿司が超人気で有名だったが、
新潟ではここである。ぼくらも行ってみたが、平日にもかかわらず、
すでに30分待ちであった。帰りに行ったので時間がなく、あきらめる
しかなかったが、今度は真っ先に行こうと思う。
(2019年7月)

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